binary ghost

どこにでもいて、どこにもいない二進法の幽霊

異世界ランチ

 

つい最近の私は

ツンデレ美少女、双葉ちゃんと

新宿で海鮮ランチ食べてた。

 

双葉ちゃんオヌヌメの店だと言うので

それは行かねばなるまいと

わざわざ地元の魔界三丁目から

じぇえあーるという魔物が飼い慣らす

鉄のドラゴンに乗って遠征したのだ。

 

コロナなんてすっかり忘れてたのだ。

新宿来たのなんて

3年ぶりくらいで人の多さにびっくりした。

 

これが全員ゾンビだったらどうやって倒そうかなとか

全員がわたしのこと見えなくなったら

どいつからどついたろかなとか

陰キャ名物「空想あそび」にも耽ったが

それも店についてすぐ忘れた。

 

大粒の牡蠣に

分厚いとろけるカンパチに

ぷりぷりのエビに

コリコリのイカ

イクラの乗った炊き込みご飯どっさり

 

牡蠣大好きだけど

私が牡蠣アレルギーなことだけ

除けば天国だった。

 

つるりと牡蠣をほおばる双葉ちゃんを見て

美女と牡蠣は良く似合う、と満足した。

 

あれもおいしい、これもおいしい

デザートどれにしよっか

食べ切れるかねえー

なんてキャッキャウフフしながら

この素敵な昼餉を堪能していると

隣のサラリーマンが急に

 

「弟の嫁は宇宙人なんだ」

と、言い出した。

 

連れの人がいて

二人で楽しそうに話してるんだけど

他の内容は全く聞こえてこなくて

それだけが耳にとびこんできて

 

( ゚д゚)ポカーン こういう顔になった。

 

正面では双葉ちゃんも

( ゚д゚)ポカーンとなっていた。

 

 

しばらく二人とも黙ってたけど

「双葉ちゃんのいいたいこと…わかるよ」

って切り出すと

ニヤリと笑った双葉ちゃんに

 

「うん…ぬいちゃん

青いカレーたべる?

と、言われた。

 

「言いたいことは伝わるけど

新鮮な不思議恐怖体験

掘り起こしてくんじゃねーよwww」

 

 

また二人とも目の前の海鮮を

むしゃむしゃと食べだした。

 

 

それ以上はそのオッサンたちに注視せず

だらだらと話して店を出たのだが

お会計をして、暖簾をくぐった途端

 

「弟の嫁が宇宙人!!」

まるで、王様の耳はロバだと言いたくて

穴を掘った人のように

いきなりデカい声で双葉ちゃんは言った。

 

復唱したかったんだね。

わかるよ、その気持ち。

問い詰めたかったよね。

 

でも今まわりから見たら

弟の嫁が宇宙人なの双葉ちゃんだよ。

 

って言おうか言うまいか迷った。