binary ghost

どこにでもいて、どこにもいない二進法の幽霊

あの子は地雷ちゃん

 

「自信」て、難しいものだと思う

 

なにかしらに裏打ちされたものであれば

まぁいいと思うのだが

何の根拠もない自信は

往々にして人の鼻につくであろうし

かといって謙遜しすぎたり

自信が無さすぎたって

人を不愉快にすることがある。

 

私は、一周回って結局ネガティブ

というタイプで

時々友達にネガティブすぎる!と

怒られたりもするため

 

「まずは自信を持っていいと

自分を許せるくらいのものを持ってみよう」と思い

いま、それを探している。

 

あこがれてるのは

筋肉隆々のハルクみたいなマッチョなのだが

私の容姿があそこまで仕上がるには

「来世に期待」か「組織に改造されて手術中にうっかり室伏広治さんか吉田沙保里さんの細胞が紛れ込む」しか

可能性を見いだせないので

今はとにかく自分にも可能なことを

闇雲に探すしかないのだ。

 

そんな時「どうやってそんなに自信を手にいれたんですか」と

聞いてみたい人を知った。

 

その人は仮に「まいんちゃん」としておこう

私の「友達の友達」で

ホラーや都市伝説なら、そいつが出てきた途端に

「嘘乙」となるヤツだが

残念ながら実在する。

 

ちなみに私は彼女のことを普段は

「地雷ちゃん」と呼んでいる

でも「まいんちゃん」の方が可愛くていいかなって。(いらぬ気遣い)

まるで懐かしのクッキングアイドルのようじゃないですか。

 

 

まいんちゃんは彼氏のスマホは逐一

奪い取ってチェックして

どこにいるか、何をしてるか常に把握し

休日はSNSで自慢できる所につれまわし

(もちろん彼氏の金で)

単なる業務連絡で彼氏と連絡をとった

私の友人のスマホまで履歴を漁り

 

朝夕、彼氏に車で送り迎えさせて

彼氏が送れない時は

バスを待たせて彼氏とダベり

みんなを盛大に待たせる割には

他の人のせいでバスが遅れると容赦なく文句を言う

 

それだけでもちょっと

西太后の生まれ変わりかな?

って思ったけど

 

まいんちゃんは女としての自信もスゴい。

 

偶然再会した小学校の同級生の男性は

当時も今も自分を狙っている!と

避けまくり(かわいそう)

 

宗教の勧誘に声かけられただけでも

三人組にナンパされちゃってこまっちゃーう

が発動するという自信の権化ぶり。

 

この勧誘の人、高校生三人組だったらしく

「今時は高校生までナンパするとはねwww」

ってのを一方的に私の友人に

送り付けてきていたが

まいんちゃんの傍には別の友人(男1女1)もいて

男連れのアラサーをナンパする男子高校生なんかおる?

というのが、私と友人の共通の見解だった。

 

それでもナンパだと言い張る彼女に

いくつかの質問をしてみたら

男の同行者のほうは

〇〇経典みたいな本を男子高校生からもらっていて

女の同行者のほうは

「ナンパだ」とは一言もいわなかったそうだ。

 

そりゃそうだろう

間違いなく大きめの駅で必ず2,3人一組で

声掛けてくるやつやん

〇〇教徒やん

 

宗教やん

それがナンパだというなら

ワイもめちゃくちゃナンパされまくっちゃってこまっちゃーうとか言うわ

今からすぐ言うわ

 

こういうのが毎日なので

私の友人はもうゲッソリだが

正直にいうと

「なぜここまで自信があるのか」においては

ちょっと尊敬してるし

なんなら秘訣を教えてほしい。

 

あと宗教の勧誘をナンパと信じられる強さ

割と欲しい。

 

でもとりあえず

まいんちゃんといるだけで

友人がみるみる疲弊していくので

 

「距離とったほうがいいよ」とは

毎日言っている。

 

彼氏は好きで付き合ってるのだから

まぁ勝手にしろと思うが

さすがに逃げても断っても

毎日自慢たれ流されて

都合よく付きまとわれている友人は

気の毒としか言いようがない。

 

自分だったら、そんなの別に

仲良くする必要どころか

嫌ってもらえたほうがいい、とばかりに

「オデ、オマエ、キライ」と言ってしまうが

 

友人はお人好しというか

まぁ、期間限定の付き合いだし

ということで、我慢している。

 

友人の胃に穴があかないことを

祈るばかりだ。

 

【結局】

ちょうどいい程度の自信て

よくわかんない

 

 

双葉ちゃんとわたし。

 

友達の芳野双葉ちゃん

 

すごく美人だし

いつもニコヤカだし

見た目だけは優しそうだし(優しいとはいってない)

仕事もできるし、頭の回転もはやい。

 

でも

「騙すやつと騙されたやつがいるなら

騙されたやつが悪いバカなだけだ」とか

普通に言うし(双葉ちゃんはバカが大嫌い)

ワイには時々

アラサーいき遅れはよ結婚しろとかいうし

(彼女のほうがワイより少し年下なのでごもっとも、としか返せない)

基本的にドライだし

厄介事には近づかない

 

 

私は赤ちゃんのお尻拭きレベルのウェッティな性格だし

要領が悪くて面倒にまきこまれやすく

地味で暗くて薄情そうな見た目とは違って、

割と暑苦しい性格をしているため

 

意見がぶつかって

(この前も騙されたやつがわるい、

いーや、騙す方がわるい!でギャースカ言った)

言い方がキツイ彼女と

事ある毎にケンカもするが

そもそもケンカしてまで友達でいたい人

なんてのに初めて遭遇したし

実はわりと善人な彼女に

私が一方的になついてる。

 

でも「双葉ちゃんてほんとはいい人だよね」

なんて言ってしまったら

「ぬいキモッ」としか言われない。

 

ていうか三日に一度くらいは

キモっ!ていわれてる気がする。

 

おそらく、むこうは私のことは

おっぱらっても寄ってくる

キモくてめんどくせえノロマな便所コオロギくらいに

思っているであろう。

確実に好かれてるとはちょっと言い難い。

 

え、なにこのひと

つんでれ?と思われるかもしれないが

ツンデレなら「デレ」があるのだが

私に対して、デレてくれることは決してない。

(ぬいちゃんの被害妄想でしょ!

っていわれるけど

絶対他の人にはあたりがソフトだと思う)

 

だいたい私がボッコボコにされて

何も言い返せず

部屋の片隅に隠れて

めそめそしているだけの関係なのだが

デレないかわりに

 

「そこ怒ったんじゃない!」ということは、たまにあるものの

「悪かった」と思うことにはキッチリ謝罪する人なので気持ちがよく

なんやかんやと仲良くやっている(つもり)

 

他の人からの彼女の評判は

「優しい」とか「おもしろい」とか

「誠実そう」とか「まじめ」とか「落ち着きがある」

そんないいことばっかりなので

こはちょっと納得いかない。

 

深夜に謎の爆上げテンションになったりもするし

筋金入りの面倒くさがりだし

ワケわかんないこだわりあったりするし

超がつく頑固モノだしマイペースだし

そーいうとこも、もっと人に見られちまえ!

猫かぶってんじゃねえよ!とおもう。

みんなあの笑顔に騙されてんだよ、笑顔に。

 

そんな双葉ちゃんなのだが

電車に乗ってる時に

けたたましく、アラームが鳴っているのに

グースカ眠っているおっさんに遭遇した

 

双「おっさんうるさーい、アラーム桃色片想いって

古すぎんだろ」

 

俺「いきなりなんすか芳野さん」

 

双「おじさんが!アラーム!あやや!うるさい!」

 

俺「降りる駅が近いのかもよ?起こしてあげたら·····」

 

ここで、双葉ちゃんが

そうだね!なんていうわけないし

見知らぬおっさんに情けをかけるとは思えない。

 

あいつは顔はめちゃめちゃ可愛いが

中身は腹黒だし得しないことは

基本的にするわけがない

私はすぐに言うのをやめた

 

「なんで他人にそんなめんどくさいこと」

くらいは言うかな?と思ってたら

 

双葉ちゃんは

「オッサン寝過ごすとかわいそうだな…」と呟くと

 

降りる直前、そっとみんなにわからないように

オッサンを小突いていた

 

 

ファッ?!

かわいそうっていった?!

 

ねー、あんたって

実は優しいよね?ね??

 

なんでその優しさ私には向けないの?

あとオッサン相変わらず寝てるね

全然おきないね

 

「チッ·····ぜんぜんおきねーじゃん

じゃあな!おっさん!」

 

双葉ちゃんやっぱりいい人なのね!

って思ったけど撤回するわ。

あきらめんのはえーよ。

もーちょいねばってやれ。

 

すると、おっさんは

その直後ぱっちり目をさまし

双葉ちゃんを追い抜いて電車おりて

すたすたと消えていった

 

それを見た双葉ちゃんは

チッ·····って舌打ちしてるけど

結果的におっさん同じ駅だったんじゃん

乗り過ごさなくてよかったじゃん

何が不満での舌打ちなんだよ。

 

 

よくわかんねーやつだな、と思った。

 

よくわからない、で言えば

双葉ちゃんの伯父さんの名前が

長男なのに

「次男」て名前なのもすげーよくわかんねー。

 

でも私、そのエピソードすき。

 

相変わらず三日と置かずいじめられているが

私は何度いじめられても

ヒョコヒョコ寄っていくし

双葉ちゃんのことも大好きだったりする。

 

バレンタインなんで

さっき双葉ちゃんだけに

一番お気に入りの専門店のチョコあげたら

速攻でもしゃもしゃ食って

うまい、ありがとう!と言ってくれた

 

そういうとこもかわいい。

ふざけんなテメーかわいいんだよちくしょー。

意地悪するのやめろー!っていったら

キョトンとすんじゃねー!自覚もて。

 

【まとめ】

ドMじゃないよ誤解しないで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋をしてるから語りたくなった。

 

 

恋って不思議

自分ではどうにもできないの。

 

きっかけは

なんて事ないワンシーン。

 

普段は乱暴者で、うるさくて音痴でゴリラで

みんなからもちょっと疎まれてる彼を

つい目で追ってしまうようになったのは

些細な切っ掛けからでした。

 

崩落事故が起こった時

「おい!あぶねえぞ!」

いつもの乱暴な口調で怒鳴りつけながら

力強い腕で落石にあいそうな友人を

羽交い締めにするかのように

引き寄せたたくましさ

 

たしかそこに

ちょっとだけキュンとしたのが

はじまりです。

 

 

へえ、あんたもナナっていうんだと

同じテンションで

へぇ、こういう一面もあるんだ·····

と、胸に一雫

なんとも言えぬ感情が

水面に広がる波紋のように静かに広がったのを覚えています。

 

私はなんだか、もっと彼の姿を見たくて

詳しい友人に訊ねました。

 

どうしたらもっと、彼の活躍を見ることができるのか、と。

 

「それなら銀河超特急がいいよ」

 

友人はすぐさま、答えてくれました。

 

聞いてよかった

仲間のピンチに体を張って

一人深い坑道に降りて

使われなくなった列車を発見し

見事に壁抜けの術を使って起死回生のチャンスを生み出す彼

めちゃくちゃかっこよくて、確信しました

 

わたし、タケシさんに恋してる、と。

 

 

いつのまにか

ジャイアンて呼べなくて

タケシさんて呼ぶようになっていました。

 

ファーストネームにさん付け

わたしが好きな人についやりがちなやつね。

 

なんかもう、変なあだ名とか

呼び捨てとか無理。

 

だって素敵なんですもの。

ありったけの敬意をこめるのが俺の流儀。

 

 

どうしようアラサー独身で

二次元の小学生男子に恋しちゃったよ。

 

というわけで、剛田武さんに恋しています。

だって映画のタケシさんかっこよくない?!

 

「緑の巨人伝」のワンシーン

のび太はキー坊と一緒にいてやれ!

ここは俺が行く!」

のとこなんて、マジで倒れて悶えた。

イケメンにもほどがある。

 

そして、厄介なことにもう一人·····

 

 

ミニドラ可愛くてなんかもう母乳でそう。

 

これ、友達に言ったら

笑ってはくれたけど絶対引いたと思う。

妊娠すらしたことないけど、マジで胸が張ってくるって、愛してるってこれ絶対。

 

どららー!

どららー!

(鳴き声)

 

寝ても醒めても、ミニドラ見ています。

毎日欠かさず見ています。

 

語彙力消滅してヨダレでるくらい愛しくて可愛い。

もう、破産するまでどら焼き買ってあげたい。

 

これをお読みの皆さんの中に

私のLINEご存知の方が何人いらっしゃるかはわかりませんが

(わかるよ、LINEする友達自体いないんだから最大でも10人もいねえよ)

その方は是非私のプロフィールアイコン

ご覧になってください。

 

一番好きなミニドラのワンシーンになっています。

 

つまりまぁ、今更ドラえもん

どハマりしました。

 

以前から詳しい友人にすすめられていて

なんとなく知ってはいたし

子供時代に一応みてはいたし

知識も人並みにあったんだけど

 

なんかねー、今までちょっと

子供むけでしょ?ハハン

私のようなクールさが売りの影のある大人の女にはちょっと似合わないわ

って、思ってたんだけど

(個人の意見です以下略)

 

ごめん私が間違ってた。

大人こそ見るべき。

 

のび太結婚前夜」で感動できないやついんの?

ってくらい素晴らしかったし

(あ、旧作ね、新作もいいんだけど私は

しずかちゃんのためじゃなくても

人のために必死になるのび太がよかった

新作だと結局しずかちゃんのために頑張っとる

あと旧作のタケシさんの空港行く道で

のび太!しずかちゃん!先にいけ!は

くっそかっこよかった)

 

「がんばれジャイアン」のタケシさんの

優しいお兄ちゃんぶり素敵すぎだし

 

「僕が生まれた日」の家族愛泣いちゃったし

のび太の名前が羨ましくなるくらいだったし

 

「2112ドラえもん誕生」は

天国が見れる(空からわんさかミニドラが降ってきて窒息するほどかわいい)

 

「ドラミちゃんミニドラSOS」は

なんとあのタケシさんさんのご子息

ヤサシくんとミニドラの可愛いが大洪水!!!

 

他のも全部いいんだけど

このショート作品5つは是非みてほしい。

ネット上にも転がってるから、それでもいいから。

 

ちなみに私は、結婚前夜

勧めてくれた友人がプレゼントしてくれた。

はっきりいって家宝級に扱われている。

 

脚本に一つの過不足もなく

すごく見ていて消化不良が一切なく

すっきりできるし

だからといってしつこく語らない

パーフェクトな作品だと思う。

 

まぁ私は好きすぎて

良さをしつこく語るんだけども。

 

なんなら毎日「ミニドラかわいい」を言いすぎて

友達にもうウンザリされたのか

「ブログにかけwww」と言われたんだが。

 

今もう私が「かわいい」しか最初から言えないか

言語中枢が破壊されたロボットかもしれないくらい

こればっかりいっている。

 

絶対裏切らない、損させない

最高の作品なので

まずは「結婚前夜」みてほしい。

でもミニドラもみてほしい。

あとタケシさんのかっこいいシーンも()

 

さすがに著作権があるので

画像や映像は載せられないが

私なりにミニドラの可愛さを絵で表現したくて

仕事の合間に描いてみた。

f:id:helloandgoodbye:20200113201833j:image

 

下手なのはわかっている。

 

だがご覧いただきたい。

 

f:id:helloandgoodbye:20200113201924j:image

(初めに書いたものがこちら)

最初よりは上達しているのだ。

 

 

スネ夫は練習してないので

相変わらずヤク中のままだ。

 

 

絵が下手とかはどーでもいいんだ!

ドラえもん見ろドラえもんー!

 

結婚前夜がナンバーワンおすすめだーーー!

 

 

 

迷子大集合

 

台風でなかなかの被害を受けた地域に住んでいるせいか

未だに道のそこここに倒木が転がり

処理しきれていない残骸が散らばり

公園の遊具などは半分使えないまま

遊び場に溢れた幼児たちが

まともに乗れるブランコを求めてジプシー化したり

奥様に子供とたまには遊んでちょうだい!

その間に掃除機かけちゃうから!と

家を追い出されたお父さんたち(予想)が

遊具代わりによじ登られて

みんなやめてえええおじさん腰痛もちなのおおお!と

叫んでいる姿が散見される。

 

 

私はというとあと二段階ほど

変身を残した

まだまだ未熟なひきこもりなので

たまに仕事の合間にコンビニでコーヒー買って

公園で、気分転換したりしている。

 

そこで、四人の幼児に出会った。

 

一人はメアちゃん?ネヤちゃん?

(聞き取れない、仮にメアちゃんとしておく)

とりあえずそう名乗って

あとの3人はまだ聞いても名乗ることすらできない

生まれた年数も美輪明宏さんなら

「誤差」とおっしゃいそうな年端もいかぬ子供たち。

 

そのうちの一人はメアちゃんの弟で

タクトくんだと教えてくれた。

 

「おねえちゃんひとりなの?」

 

「そうだよ、おねえさんは一人で休憩をしています」

 

「きゅうけいってなに」

 

「お仕事疲れたからおやすみじかんなの」

 

「どうしてひとりなの?お友達いないの?」

 

「おねえさんショックすぎて二の句が告げません

本当のことはやんわり言ってあげるのがマナーですよ」

 

「メアたちがお友達になってあげようか」

 

「あ、ありがとうございます

でもパパやママはどうしたんですか

心配しますよ」

 

「ママたち迷子になっちゃったー!」

 

視点が変わると物事も変わるいい例ですな。

 

「ネアちゃんたちが迷子じゃない?

ママ探してるとおもいますよ」

 

「ママがまいご!!ネアもうすぐ四才だし!

まいごとかなんないし!」

 

「これは失礼しました、ママ寂しくて

泣いちゃってるかもしれませんね、探しましょう」

 

「まったく世話がやけるママなんだからぁー」

 

 

ママが言いたいこと代弁してあげるなんて。

 

 

「みなさん、おうちは近所ですか?」

 

「ネアとタクトは同じおうちー」

 

「それはなんとなく察しがついていました」

 

「この子とー、この子は知らないおうち

名前も知らないから

りんご姫とみかん姫ってよんでる」

 

「え!!お友達じゃないんですか?!」

 

「さっきあひるちゃん見に行った公園で

お友達になったの」

 

「なるほど、初対面ですね」

 

「ブランコのりたい」

 

「唐突すぎです、ここのブランコ基礎が浮いちゃってて

修理の手もまわらないので閉鎖されてますよ」

 

「ここもだめなのー!なんでー!」

 

どうやら彼女たちは

最近よく見る公園ジプシーで

大方お母さんが目を離したすきに

野良化したようだ

 

「おああん!てりっ」

 

「え?」

 

てりってなんだろう。

無口なタクトくんが

謎の呪文をつぶやいた。

 

「タクトはおねえさんおしっこしたいっていってる」

 

ネアちゃんの通訳ありがたい。

 

縁もゆかりも無い男児をトイレに連れてって

わいせつ行為とかで逮捕されないか

ビクビクしたけれど

公園のトイレはすぐそこなので

手早く済ませてなんでもない顔をすることにした。

 

「ネアちゃん、一緒に来て貰えますか」

 

「いいよー」

 

「なー(としか聞こえない)は、てつぼしゅる」

 

「あるはコウモリできる、みてて」

 

「大変見たいのですがトイレ終わってからでよいでしょうか」

 

あとの二人は多分間違ってるだろうけど

アルちゃんとナーちゃんということにしておこう。

 

手早くタクトくんをトイレにつれていき

(結局全員ついてきたけど)

近所の交番に電話して

今から連れていくので預かってくれと頼むと

「ぱお!ぱおぱー!」とタクトくんが

はしゃぎ出した。

 

通訳さんの言うことには

パトカーが好きらしい。

 

女の子チームは御手洗だいじょうぶですか?

と尋ねると

「ネア今日はおねパンじゃなくて紙パンだからへーきー」

と、スカートをめくってパンツをみせてくれた。

 

おねパンはトイレトレーニングを終えた

お姉さんが履く布のパンツ

紙パンはおむつのことらしい。

 

「人前でパンツ見せてはいけませんよ」と裾をおろさせ

 

ナーちゃんとアルちゃんも

おしっこでない、というので

みんなで交番に向かった

 

間がもたないので

「あ、むこうにワンワンいますね、かわいいですね」

「パン屋さんおいしそーですね」

「今日はさむいですね」

 

適当に会話していると

 

「そうだ!みんなお友達でしょ!歌を歌おう!」と

ネアちゃんが提案してくれたと同時に

 

あのひのかなーしみーさえ

あのひのくるーしみーさえ

そのすべてをー

あいーしてたー

あなーたーとともーにぃー

 

米津玄師さんを歌い出し

ひとふし歌い終わると

 

「ネアこのお歌昔好きだったのよねぇ」と

ため息をついた

 

お前の昔って

最近しかねーだろ。

 

ネアちゃんに合わせて歌ってるのかもしれないけど

アルちゃんは「まむまむまーみー」

ナーちゃんは「ぼっぼーぼっぼぼー」と

かなりフリースタイルな米津玄師になっていた

 

いろいろと身元の手がかりを

聞き出したかったが

なんとか会話になるのはネアちゃんだけなので

それもうまくいかず

 

とりあえず駅前にたどりつくと

アスナ!ばか!どこにいたの!」と

髪を振り乱した女の人が走ってきた

 

アルちゃんのママらしい。

 

「あー!ままー!」

アルちゃんも嬉しそうに走りよって

お母さんに抱きつくと

いきなりお母さんにパンチした。

 

アルちゃん、いやアスナちゃん

なかなかの武闘派。

 

「向こうの公園で話しかけられたんです

お母様ですか?

一緒にいるこの子たちはご存知ありませんか?」

 

そう尋ねると

お母さんは泣き出しそうな顔をして

すみません本当にご迷惑をおかけしてすみません!

私が荷物持ち替えてるすきにいなくなって

ほんと、生きた心地がしなくて…!

 

残念ながらこのお子さんたちはわかりません

と、アスナちゃんを抱きしめて

ぐしゃぐしゃにしちゃいそうなくらい撫でていた。

 

心配だったのだろう。

 

「もう四人とも交番に連れていく連絡をしちゃったんで

アスナちゃんだけお母さんみつかりましたってて電話しますね

お電話かわっていただくかもしれないんですがよろしいですか?」

 

「お手数かけますほんとにほんとに誘拐だったらどうしようって…

ほんとにすみません!!」

 

「あんまーんまー!」

 

「今アンパンマンはいいの!アスナもお姉さんにありがとうとごめんなさいしなさい!」

 

「あーいえいえ、何もなかったんですから良かったです」

 

警察に連絡すると

それなら三人悪いけど連れてきてもらっていいかなと言われたので

アスナちゃんとママにバイバイして

また交番に向かった

 

「りんご姫のママも迷子だったのねやれやれー」

 

アスナちゃんがりんご姫だったんですね

そして迷子はいつだってあちら

という強硬姿勢私は嫌いじゃありません」

 

「おねえさんは何のお姫様?」

 

「え、なんでしょう…わかりません」

 

「じゃあもものお姫様ね」

 

「もも好きです、そうします」

 

「たた!るーそーじゃ!」

 

「すみませんタクトくん、わかりません」

 

「タクトは竜ソルジャー(竜ソルジャーってなんだ)になるんだって」

 

「かっこいいですなぁー、がんばってください」

 

「おねえさんはしょうらいなにになるのー!

ネアはねー!けーきやさーん!」

 

「あらすてきー、おねえさんは大金持ちになりたいです」

 

「ネアもー!ねあもー!大金持ちのけーきやさんがいい!」

 

「たたとー!」

 

タクトくんも「大金持ちの竜ソルジャー」に路線変更したらしい。

 

みかん姫はいきなりちょっと

ママがいないの思い出して

寂しくなっちゃったらしく

私の足にタックルしてきたので

だっこで連れていった

 

タクトくんも泣いちゃってもおかしくないけど

ネアちゃんが明るいし

「ママが迷子、自分たちは迷子じゃない」で

押し通してくれるので

その雰囲気のまま、交番についた。

 

 

おまわりさんには

一気に四人も迷子拾ったのwww

と、笑われた

 

拾っちゃったもんは仕方ないじゃないか。

 

ネアちゃんが物怖じしないし

タクトくんは交番に興味しんしんだし

みかん姫だけはまだ膝の上でグズついてるけど

お母さんから警察に連絡があったらしくて

すぐ引取りにくると話があったので

交番についた時点でわからないのは

ネアちゃんとタクトくんの身元だけだった

 

心配ではあったけど

お母さんが見つかって

物凄い勢いでお礼言われるのは苦手だし

おまわりさんに任せておけば

寒さも危険もないだろうから、と

一足先に退散しようと立ち上がると

 

「もも姫どこいくの」とネアちゃんに察知されてしまった。

 

「えーと…ももの収穫です、そのあと桃を売りに農協にもいかないといけないので」

 

「ネアもいこっか?」

 

「ネアちゃんたちは、迷子のママが

必ずおまわりさんたすけてーってくるから

ここにいてあげてください」

 

「ほんともーママったら世話がやけるママなんだからー!」

 

さっきも思ったけど

世話がやける、なんて言い回し

よく知ってるな

ママの口癖なのかもしれない。

 

「あの、良かったらご連絡先伺ってもよろしいですか?」

 

警察官に尋ねられたので

「この子達がどうなったか気になるのでそれだけ後で教えてください

でもお母様がたには私の名前も連絡先も教えないでくださいね

何もしてないのでお礼とかされたら困りますから」

 

携帯の番号と名前だけ書いて

「ちょっともも取りにいかなきゃいけないから、みんなまたねー」と

外に出た。

 

 

出たら向こうから、泣きながら

すごい顔で爆走してくる

30くらいのご夫婦が見えた

 

あれがみかん姫のご両親だろう。

 

私はわざとそのご夫婦と反対に歩いて

鉢合わせない道を選び

少し遠回りをして

もう一杯コーヒーを飲んで

仕事でもするか、と帰った。

 

 

しばらく後に

その場にいた婦警さんが電話をくれて

みかん姫の直後に

ネアちゃんと、タクトくんのご両親も

交番に駆け込んできたらしく

全員無事に帰路についたようだ

 

ネアちゃんが

「桃姫がまだ桃がりから帰ってないからここで待つ」と

ごねたようだが

婦警さんが気を利かせて

桃がいっぱいありすぎて、ネアちゃんたちに

今日は先に帰っててと電話があったよと話してくれたらしい

 

ちなみにタクトくんは

桃姫?だれ?しらん。と

それだけハッキリ話したようで

ちょっとさみしい。

 

一時間ちょっとしか

一緒にいなかったけど

友達じゃなかったのかよちくしょー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情報量が多すぎる日

 

海外旅行へいく人に

お願いしてあった

ボディークリームを受け取りに

とある駅前へいった

 

一万円渡して商品を受け取ると

突然彼女が

「駅のトイレにスマホわすれたぁぁぁぁ!」

と言って走り出し

なぜか渡したばかりの一万円札を

ぽいっと放り投げた

 

なんでお金捨てるの?!と焦って

慌てて拾って追いかけると

改札の駅員さんにちょうどスマホを拾いましたと

渡してくれてる女性がいて

その方にお礼を言う彼女に、おいつくと

 

「ごめんスマホ!って思ったら

なんか手に持ってる一万が急に邪魔になって」

バツが悪そうに笑っていたので

「びっくりさせないでよ」と

改めてお金を渡して

 

寒いからお茶でもしますか、と

駅前のファミレスに入った

 

お店はガラガラで

私たちの他には5組もおらず

 

近くに30過ぎくらいのお母さんと

ちょっと小さめの小学生が

食事をしている席に座った

 

静かな店内で、知人と旅行はどうでしたか?なんて話していると

「お前!頭おかしいだろ!」と

ギャンギャン叫ぶ女性の声

 

びっくりしてると

それはその親子連れの母親らしき人だった

 

子供のほうは日本人にしか見えないが

母親の方はなんというか

片言の日本語に、黒髪の人が

自分でやりました、というようなブリーチ

顔はアジアン

 

「マフラー無くした」

「お前頭おかしい」

「お前のパパとママも頭おかしい」

「早く食え!」

「名前書いとけっていっただろ!」

「だから勉強できないんだ!」

 

このどれかを繰り返し延々と叫ぶ女性が

小学生の女の子をどついたり

髪を引っ張ったり

時々急に黙ってスマホを見てニヤニヤしたり

お膳の写真を撮ったり

 

あいつぁやべえ。

お前のパパとママってことは

あいつ母親じゃないんか?

 

小学生の女の子は

綺麗なツヤツヤの髪に

切りそろえられたおさげ髪

シワひとつない、近所の

私立のお嬢様小学校の制服を着ていて

見える場所にはアザもなく

極端に痩せているなどの

ひどいネグレクトをされてる様子は伺えないが

 

手をきちんと揃えて座り

じっとうつむいて

時々ごめんなさい…と謝ったり

何かを説明したり

 

早く食え!といわれると

慌てて箸でうどんをすすり

 

すすりだすと

ちゃんときいてるか!?と怒鳴りつけられ

 

また箸をおいて手を揃えると

早く食べろ!と

今度は口に無理矢理米を詰め込まれ

お前は頭がおかしいと罵られる

 

言っても無駄だ、こいつに話は通じない

そんな気持ちだと思う

小学生は

諦めた表情をしてる。

 

 

連れの知人は

「なにあのオバサン、お茶がまずくなるぅ

しつこすぎるし女の子かわいそ」と

呆れた顔で二人を見ていたが

私はなんかもう全身の血が逆流しそうなほど腹立たしくて

すぐにでもその席に乗り込んでやりたかった。

 

だけど今ここで私が文句を言って

家に帰ってあの女の子が

余計酷いことされるかもしれない

 

マフラー無くしたのって

そんなに重罪なの?

ぶたれるようなことしてなくない?

 

もうお茶も手をつけるの忘れて

その親子にかぶりついていると

突然女の子が頭をはたかれ

「手を洗ってこい」と立たされた。

 

なんか汚してしまったらしい。

 

憂鬱そうに歩く彼女が

御手洗に立ったのを見て

私はカバンをつかんで走っておいかけ

 

同じように見ていた店員の女性も

慌てて走ってきた

 

ちょうど死角になっていて

女からは見えない

 

「急に話しかけてごめんね

あの人、あなたのママなの?」

 

なるべく警戒させないように

膝をついて近寄り過ぎないようにすると

 

「ううん、おばちゃん…

わたしがマフラーなくしたから

おこられてるの」

 

彼女は一回も泣かなかったけど

とても悲しそうに話してくれて

目はうるんで泣く寸前だった。

 

「あのね、マフラー無くしたことは

褒められることではないけど

それでも、わたしには

貴方が叩かれるようなことは

していないと思う

もう30分以上も怒鳴られてるよね?

辛ければ家族じゃない大人の人に

助けてっていっていいんだよ

貴方は頭がおかしくなんかない

私ときちんとお話だってできてる」

 

あまり時間をかけたら、またあの女が

わめきだすだろうから

なるべく時間をかけないように

でも彼女の声を聞きたくて

トイレの前で店員さんと3人で話をした

 

店員さんは「ひどすぎます」と

顔をくしゃくしゃにしていた

 

女の子は結局

「人に言ったら余計おこるから…

心配してくれて

どうもありがとう」と

また憂鬱そうに席へ戻っていった。

 

あんな可愛らしい女の子が

小さいうちから

大人にならざるを得ないのかよ、と

余計腹が立った

 

一緒に話を聞いた店員さんは

極力女の子たちの席の傍にたって

人目があるんだぞ、というアピールをして

女の子は少しだけぶたれる回数が減った

 

それでも女はそのあとも30分以上

計1時間以上も女の子を罵り続けて

うどんなんて、グズグズになっていた

 

何もできないのかと

イライラして

まだ女の子を怒鳴る女を憎らしげに睨み

もーがまんならん

と、席に歩みよると

女の子が

私にむかって不安げな表情を見せた

 

やっぱり余計酷い目にあうんだ。

 

それがわかって

口をひらくのをやめたが

こんなに敵意むき出しなのも珍しいくらい

人に対して「憎い」という気持ちを向け

女を見下ろした

 

女は「お前頭おかしい」を

「貴方は頭がおかしいです」に

言葉は言い換えたが

女の子はそんなもんじゃ

全然救われない。

 

 

店を出て、とりあえず

通報記録を作ろう、と思い立ち

警察に電話をした

 

状況を簡潔に説明して

虐待なのかしつけなのかわかりません

でも親子関係ではない人間だと

トイレに立った当人に聞きました

衆人環視の中で1時間も怒鳴られ続けて

愚弄されつづけて

怪我をしない程度ではありますけど

頭を叩かれたりしています

ただ、興奮させて女の子が余計にひどい目に遭うのが恐ろしくて

場所を伝えるのすら決断がつきません。

と、相談すると

 

勇気ある通報ありがとうございます

何かがあってからでは遅いケースです

どうかおまかせいただけませんか

念の為にでも、と

言ってくれたので

その場を委ねた。

 

あとは、女の子が

酷い目にあいませんようにと

祈るくらいしかできなかった。

 

歯痒くて、もっとなにか

できなかったんだろうかと

自分にもあの女にもイライラした。

 

悔しくて真っ暗な道を

鼻水たらしながら

泣きながら歩いた。

 

私の前に何人か歩いてて

時々ギョッとした顔をされた。

 

恥ずかしかったけど、涙が止まらなかった。

 

 

すると突然、自転車でやってきたおじさんが

う、うわぁぁぁぁぁ!

がまんできないいいいいいい!と

叫びながら

おしっこをもらした。

 

 

さすがにわたしもギョッとしたし

涙は瞬時にかわいた。

 

情報量が多すぎて

普段人と関わらないわたしには

処理できなかった。

 

 

 

 

ラプンツェルの近況

 

酷い風邪かと思って寝込んでたら

溶血性レンサ球菌というやつに

かかっておりました

 

大人にはあんまり伝染らないらしいけど

その大人には伝染らないも

絶対例外があるじゃん私かかってるじゃん

 

ということで

人にうつすことがなくなるまで

家に閉じこもって暮らしています

 

まるで高い塔に閉じ込められた

ラプンツェルのようですよね

ラプンツェル見たことないですけど

(絵本は読んだよ)

 

お気に入りの本を読んで

部屋の壁に絵を描いたり

ギター、編み物、料理をするの

 

実際はAmazon一日中巡回して

YouTubeで猫動画見て

べくし兄貴の実況みにいって

可愛いニットのワンピース買って

届いたから嬉しくて着たくて

脱走してステーキ食いにいって

速攻帰ってきて

またワンピース買って

そんで翌日またワンピース買った

 

 

この冬どんだけニットワンピ着るねんワシ

 

でも安心して

コートも買ったの(安心安定の無関係)

まだ届いてないけど

 

ネットで服買うの久しぶりで

それがまた当たりだったもんだからさ

あとヒマだったから。

 

 

もー熱もないので

食欲も戻って本人的には健康です。

 

 

なんか先週1週間

誰にも会わないし

久しぶりのヒマを満喫しました

 

もちろん、ここから巻き返さないと

死ぬんですけど。

 

 

先のこと考えるの怖いから

猫動画巡回して寝ます。

 

みんなも健康には気をつけてね。

 

 

起きてる時間のひまつぶし

 

今日は弱音と愚痴とわかめ。

 

風邪ひいた

 

ちよ母たちと夕飯いって

翌日おきたら

鼻から膨大な鼻水たらしてて

熱も9度もあった

 

あー、だめだ

今日は寝ていよう·····

とりあえず解熱剤だけのんで

一日中たっぷり寝たらなんとかなるかな?

 

って、目を閉じると

すぐ眠りについた

 

友達が、顔だけ一方的に知ってるおじさんに

ポケットから取り出した

生の青唐辛子をぐいぐいすすめられて

い、いりません!ぼく辛いの苦手です!

て必死に抵抗してる夢を見た

 

私は何故か小さなスズメになってて

友人の肩にとまって

その様子をみていた

がんばって!にげて!って応援したんだけど

スズメなんで

チュチュン!て言うのが精一杯だった。

 

なんだ、いまの夢か

(そりゃそうだろう)

 

何か食べるものあったかなぁ

飲み物くらい買いにいかなきゃなぁ

 

·····なんもない。

 

また、力尽きてねた。

 

 

次に起きたら、もう夜遅くだった

喉は痛いけど熱は解熱剤きいてる!

よーし、いまからコンビニでいいから

水分と食糧調達しよー

 

いそいでコンビニに向かう。

 

しかし、田舎のコンビニはこんな時間

なんもないのだ

台風二連続のおかげで

まだ安定供給されてないのか

レジにはお詫びがはってあった

 

とりあえずなんとか食べられそうな

糖質ゼロのゼリー(インスリン出るから食べたくないんだけど)

買ってヨロヨロ帰った

 

夜は後ろ手に冬を隠し持ってて

ゾクゾクするのは

風邪のせいだけじゃなさそう

 

明日にはもうちょっと

体力戻ってるかもしれないし

スーパーも開くから

食事もしっかりとろう

 

 

 

 

って思って寝て起きたら大雨

でも予報みると

まだまだ酷くなるらしい

 

意を決して、外に行くと

色んなところから水がふきだし

濁流になっていた

 

さむいよー

さむいよー

ずぶぬれだ

 

雨の隙間に、少しだけ

また冬の匂いがしてる

 

実家に帰ってやろうかと思ったけど

弟は高三、受験生

ただでさえアホなのに

風邪までうつしたら

勉強する時間を奪ってしまう

 

それに実家には私の着れるものは

弟か父さんのものしかない

着替えも持たずにいけない

(妹、服5号。そんな細いの着れねえ。

服がはじけとぶ。

母、私と15センチくらい身長ちがう)

 

なんとか、帰るしかないか…

 

 

じゃぶじゃぶ濁流のなかを

レインブーツじゃないブーツで

歩いて

べそべそになって帰宅

 

すぐさま風呂にはいって

とりあえず体あっためて

牛テールでスープをつくる

 

また熱は9度を越えてた

 

 

雨の音しかしない家で

布団を鼻までかぶって横になると

なんか寂しい気持ちになった

 

ぬくもりがほしい

誰かに優しく声をかけられたい

冷たい手のひらで額を撫でてほしい

 

小さい頃、熱を出すと

母が一晩中横にいてくれた

 

いつもは妹が母さんにべったりで

お姉ちゃんなんだから一人で寝なさいって

我慢するしかなかった

そのうち弟まで生まれて

甘えるなんて発想すらなくなった

 

 

私は寝付くのが下手な子供で

いつも真夜中まで本を読んでた

 

読むものがそのうちなくなって

辞書や辞典のすみずみまで読んだ

 

だから割と熱が出るのは

特別みたいで嬉しかった

わたし熱があるみたい、って言えなくて

酷くなるまでじっと我慢するくせがあったけど

そういう時は気づいてくれた

 

怖い夢を見て目が覚めても

すぐそばに、甘い香りの母さんがいたし

私の目が覚めると

なぜかすぐ気づいて声をかけてくれた

 

あー、この年で

お母さんが恋しいのかなぁー

 

母を思い出す

 

私が海外赴任中に

弟と結託して私の家からテレビと

パソコンもってったことや

 

四歳ではじめてサンタさんを知って

会えるのがすごくたのしみで

「ぷれぜんとはいりません

さんたさん、ぬいとともだちになってください」

って手紙まで用意したのに

「プレゼントいま父さんがハローマックに買いにいってるわよ

あと幼稚園のクリスマス会で見たサンタさんは

バスの運転手のおじさんよ」

って普通にバラしてきたこと

 

自分が好きな芸能人とかに会うと

正攻法でいっても埋もれてしまって

握手すらしてもらえない場合があるからって

毎回小さかった私を相手に無理やりだっこさせて

ほら子供に塩対応するんかー!と

いわんばかりに神対応を求めたこと

 

 

思い出すとだんだん

一人暮らししたのも

実家にいたくなかったからだわ

って甦ってきた

 

うん、猫でええわ

猫かわいいし

猫と暮らしたい

 

今度は、愛猫ぽっしゃが生きてるとき

風邪をひいてても、ひいてなくても

いつも私の胸の上で

ぐるぐるにゃーおと寝言いって

時々ふさふさしっぽを揺らし

ぴんくの鼻をひくひくしながら

寝てる彼を思い出した

 

ぐぁぁぁぁぁ

なんで俺を置いて逝ってしまったんだぁぁぁぁぁ!

うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

今も愛しているよおおおお!

 

熱のせいだろうけど

だいぶメンタル不安定だ。

 

もう寝よう、きっと明日こそ

よくなっている

耐えるのは得意だ

 

病院あいてないけど

解熱剤はしっかり飲んだ

 

ビタミンも水分たっぷりとった

体もあっためたし

栄養だってとった

 

その晩もまた、とても怖い夢を見た

目覚めても喉は痛いままだし

熱もまだあった

 

でも8度3分まで下がってた

 

「具合よくなったの?まーぼうが今から自転車でそっちに行きます

受験生だから移しちゃだめよ

玄関先にご飯置いて帰ってきなさいっていってあるから

冷めないうちに食べなさいね」

 

 

あ、母さん気にしてくれてたんだ

気にかけてもらえるのって

なんやかんやありがたいなぁ

 

少し経って弟が玄関先から呼ぶ声がした

「ねえちゃーーん!

カルビ3人前とお出汁で似た煮玉子もってきたよーーーー」

 

母さん、高脂質ダイエット理解してくれてありがとう

でも3人前て。

 

「あと、バウムクーヘンかってきたよ

姉ちゃんなんでかしらないけど

風邪ひくと食べたがるでしょ」

 

「いらない、糖質とりたくない」

 

「このバウムクーヘンを俺だと思って」

 

「じゃあ余計いらない」

 

「いいもん!俺もらっちゃうもん!」

 

「ありがとう、帰って勉強しなさいよ」

 

「う·····うん·····」

 

(しねーな、浪人確定乙)

 

 

さっき、お肉もたべたし

玉子もたべた

 

きっとこっから

ぐんぐん良くなってしまうのだ。

 

きっとそうなのだ。

 

明日は元気に仕事ができる。

 

だから、また

もう少し寝るのだ。

 

おやすみ。

 

 

ダイエット頑張ったら公開処刑された話

 

いきなり自慢いいっすか?

自分、いっちゃっていいっすか?

 

最近けっこう痩せました

頑張らないで痩せました

肉ガッツリ食って痩せました

いまね、マイナスきゅーきろーーー!

いえーーー!

 

すごくね?私すごくね?

って毎日体重計にのってウットリと眺めています。

(元がムッチムチだったことは言及しないのがマナーな)

 

筋トレも以前から習慣になってたので

地味に、しかし確実に

憧れのクビレがでてきました

でも乳はしぼまないの

むしろ増えるの

なぜか金森式はアンダーバストだけ減るから

カップ数はあがったの

 

このままどんどんクビレちゃったら

腹見せびらかしたくなっちゃうんじゃないの

毎日全裸かビキニなんじゃないの

 

気が大きくなって

実際は無理なくせに

そんなことを思いながら

金森式ダイエットには感謝です。

 

周りの人にも

「どうやってそんなに痩せたの?」とか

「わたしもやりたい!」とか

待ち伏せされたり呼び出されたり。

 

とくに女性からの反響が大きいです。

ぬいちゃんと同じものしか食べない!

食べたもの教えて!

 

って言い出した人も1ヶ月半ほどで

14キロ痩せたそうですし

(もちろんその方は

元々だいぶぽっちゃりはしてたので

数値的な結果は早いってだけだけど)

 

幼なじみのちよちゃんも

MCTオイルと金森先生の本をプレゼントしたら

毎日愛用してくれたみたいで

半月で3キロ近く痩せたそうです。

 

家族は私と母以外

全員どれだけ食べても太れない体質なので

(妹とかどれだけ食べても41キロが壁らしく

なかなか越えられないのが悩みと言っていた

何かその悩みとてもムカつく

弟も毎回米3合食うのにほっそい

父に至っては食も細いのでダイエット中の女子中学生みたいな量しか食べない)

 

母だけが興味津々で(さすが唯一のデブ仲間)

応援もしてくれて

私にだけ痩せる度に新しい洋服ごっさり買ってくれたり

高級なお肉おごってくれたり

差し入れにカルピスバター(非常にお高級品)持ってきてくれたり

かなり協力的。

 

そして周りの人にも吹聴したようです。

 

それに食いついたのが

ちよちゃんのお母さんと

そのお隣に住む玉舘さん(仮名)

 

一昨夜、私が激しい運動は控えてるけど

ちょっと体動かしたいなーと思って

家から二駅ほど歩いたところのスーパーに

お肉を買いにいった帰り

 

コストコ帰りの二人に遭遇しました。

 

 

「ぬいちゃんだ!ぬいちゃん!」

「やだ凄い痩せてる!別人じゃん!」

「なんかぬいママに聞いたけど肉ばっか食って痩せたとか嘘でしょ?

ほんとは死ぬほど我慢したんでしょ?」

 

「ううん、ほんとだよ。今もお肉買いにいってたの。」

「わー!ほんとだ!肉もってる!バターも!」

「おばさん今から肉おごってあげる

目の前でお肉たべてよ、そしたら信じる」

 

玉舘さんにお肉をおごってもらえることになりました。

褒めてもらえるし

お肉おごってもらえるし最高!

 

ついた先は、玉舘さん行きつけの

飲み屋さん…?定食屋さん?割烹?

そんな感じのお店で

 

とりあえず、ご店主に頼めば

なんでも作ってくださるので

私はお肉とホッケ

 

ちよちゃん母たちの前でモリモリたべました

 

「ほんとに肉たべるんだー…」

「そんなもんで絶対痩せられなそうなのに」

「うそみたい…」

「不思議かもしれないけど根性なしでも空腹感ないし簡単だよ

辛いといえば脂質とタンパク質食べるのが

おっつかなくて苦しいくらいw」

 

ちよちゃん母と玉舘さんは

たくさん食べる私にびっくりしたみたいで

ご店主を捕まえて

「この子ね、10キロ近く痩せたのよ

お肉だけたべて!信じられる?!」と

掴みかかりそうな勢いでまくしたて

 

「い、いやぁ…肉だけなんて信じられませんね

でもそちらのお嬢さん今もお肉召し上がってますしね」

「そーなの!バターとか卵もめちゃくちゃ食べんのよ!」

「以前のお姿知らないので

どう痩せたかはわからないですけど

よく太らないなあって思っちゃうメニューですよね」

「多分この子相当根性あるのよ!」

 

 

根性なくても出来るって今言うたとこやん

 

あと明らかにご店主困っとるやん

 

知らん女がいきなり来て

「痩せました」っていわれてもな

「そうですか」しか、言うことねーよな

 

 

次に、50歳くらいのご夫婦が入ってきた

「あら、玉舘さん!」

 

どうやら玉舘さんのお知り合いらしい

「まー!〇〇さん!(名前忘れた)

ご夫婦でいらしたの?仲良いわねえ!」

 

「下の息子が今日彼女んちいって

お父さんと二人だからたまにはいいかなーって」

「毎日作るのめんどくさいもんねえ!

ところで聞いてよ!

この子お肉だけ毎日たべて10キロ近く痩せたのよ!」

 

 

やめて、無関係な人はやめて

 

ご店主も無関係だけど

まぁあの方はギリギリ客との世間話程度に

捉えてくれそうじゃん

でもこの人、ほんと無関係じゃん

 

意外にもその方はかなり食いついてくれて

「えーすごい!おばさんにも詳しく教えて!」と

金森先生の本の名前をメモっていた

 

「ダイエットしてるのにお肌きれいよねえ

若いからかしら?」

「や、もともとは荒れてたし色黒なほうでしたよ、なぜか白くなりました」

「てんちょーーー!わたしも肉!

塩と肉だけにして!ごはんいらない!」

 

今すぐはじめるとか

この人有能かよ

 

「あのさ!3人でお食事してるとこ悪いんだけどさ!

このお姉ちゃんにも少しだけ詳しくお話きいていいかな?

あ、お父さん先に食べてて」

「あ、ハイ…私でお役に立てそうなことであれば」

「この1週間どんな食生活か教えて!

丸コピするから!」

「か、母さん…俺は米も食いたい」

「食えばいいでしょ!あたしはねー!

十年前のスカート履けないけど諦めきれなくてまだとってあるのよ!

履ける希望が目の前にふってわいたのよ!」

 

知らない人、めっちゃガチ勢の予感。

 

私がその奥さんに

どんなものを食べているか

金森先生の本がどの店に売っていたか

くわしく説明してる間

 

いつの間にか黙って酒を入れていた

ちよ母は

店中をウロウロして

私が今より9キロ太っていた頃の写真を

突然思い出したらしくスマホの中から探し出し

斜め前にいた若いサラリーマン男性二人連れに見せ

「ね?痩せたっしょ」と同意を求め

その男性が「わーすごいですねぇ、綺麗になりましたねえ」と

お世辞を言ってくれると

「声が小さい!もっと腹から声出せ!」

と、なぜか鬼軍曹のように返事を強要し

 

玉舘さんは、ご店主の娘さんに

(40手前くらいでめちゃくちゃ綺麗な人なので

ダイエットも無縁かもしれない

っていうか元々かなり節制してそう)

「あの子はほんと根性ある!あたしゃ感心したね!」と涙ながらに語り

 

なんか店中に

「へぇー」って感じの視線を向けられた。

 

 

簡単に言うと

恥ずかしくて死にたかった。

 

 

こんな公開処刑ありかよ、と

吹聴した母をちょっと呪った。

 

 

玉舘さんもちよ母も

精一杯私を褒めてくれようとしたのだろう

そう受け止めておこう…。

 

帰りがけ、ちよちゃんから

LINEがきて

「お母さんが酔っ払ってるってほんと?

迷惑かけてごめんね!

すぐ迎えにいくね!」とあったので

「あ、平気だよ

私がつれていくよ」と返したら

 

「これも運動運動!金森式も効果的だけど少しは運動もしたいもん!」

 

さすがちよちゃん

もともと美しいけど

意識たかいなー

挙式近いだけあるなぁ、花嫁はちがうなぁ、と

感心していたら

 

超ナイスバディになったら

ハロウィンで

一緒にこれ着ようよ!

 

って画像が送られてきた。

 

f:id:helloandgoodbye:20191024021110j:imagef:id:helloandgoodbye:20191024021116j:image

(ちよちゃんがどっから拾ってきたのか

わからんのでとりあえず目線いれときました)

 

 

「ぬいちゃん吸血鬼のほうね

わたし、猫娘!」

 

 

 

私は、生まれて初めて

親友の頼みを断った。

 

さすがにいくらなんでも、と思った。

 

元ネタしらんけど

よりによってすぎる。

 

吸血鬼なら昔怪物くんで

八嶋さんが演じてたザマスみたいな

吸血鬼くらい布地があるやつがいい。